小学2年生で英検5級を受けました。英語塾に通えば小学校卒業までに英検2級取得は可能でしょうか?

小学生での英検2級取得は難関であるものの、ご本人が英語の勉強に一生懸命取り組めば可能ではあります。

実際、帰国子女などではなく普通に日本で生まれ育った小学生でも2級に受かる子はいるので、不可能ではありません。

英語塾の授業だけではまったく足りない

しかし、それには多くの努力が必要になります。

英語の勉強を始めて英検2級に合格するまで、約1600時間の学習時間を要すると言われています。英語塾や英語教室に週1回通って、1時間でできる程度の宿題をするだけではまったく足りません。

来年小学3年生で準備期間が今から4年と少しだとすると、英語塾に通いながら計画にしたがった家庭学習を欠かさず毎日1時間ほどしなければなりません。

早期の英検取得を目指す際の落とし穴

小学生で英検2級合格を目指す場合、次の点に注意する必要があります。

英検2級のレベルは本来、高校卒業程度の学力に相当します。内容的にも高校生が学習するような、環境、文化、歴史、教育、ビジネス、科学、医療、テクノロジーなどがトピックとして扱われており、小学生には理解が難しく学習が負担となる場合があります。

それでも、内容が比較的日常的で身近なリスニングセクションなどで得点したり、あるいは選択式のテストのためかなりカンで正答できたりするため(カンも実力のうちではあるものの)、ぎりぎりで合格できることはできます。

しかし、これはでは本当の学力はついていないということに留意しなければなりません。

急ぎ過ぎるとだいたい失敗する

英検取得を急ぎ過ぎると、基礎ができておらず途中で壁に突き当たり、だいたい失敗します。結局、学び直しをしなければならずかえって回り道になるようなケースをこれまで多く見て来ました。

私(鶴岡)の教室にも小さい頃からバイリンガル幼稚園や早期教育の英語塾・英語教室などに通い、小学生で英検2級、中には準1級をすでに取得済みという子どもが来ることがあります。しかしその多くは文法や読み書きの基礎ができておらず、それ以上英語力を上げるのに行き詰まり、どうにもならない状況に陥っています。

基礎の欠如に自分で気がついて、「何とかしてほしい」と私のところへやって来る親御様も多くいらっしゃいます。

小学生で英検2級合格と聞けばすごそうですが、実際の英語力の中身はスカスカの穴だらけで、英検取得を急いでそこまでは何とかたどり着いたものの、基礎がガタガタのためそれ以上は積み上げができない状態であるのが実情です。上位級合格だけを目指して中身を見ず、ただ突っ走ってきたという感じです。

結局、空いた穴を埋め合わせることになり、かえって遠回りになることさえあるのです。

小学生で3級か準2級まで取得できれば十分

本格的な英語学習を開始する時期にもよりますが、一般的には小学生で3級か、準2級まで取得できれば十分かと思います。3級は「中学卒業程度」、準2級は「高校中級程度」ですので、取得すればすでにかなり先を行っていることになります。

上の級にチャレンジすることを決して否定はしませんが、無理をして受験するよりちょうどよい時期に十分に得点して合格していくことの方が大切です。

本当の実力を蓄えることが重要

英検は単なる一民間検定試験に過ぎません。そしてたった数十分~2時間程度の試験では英語力の一部しか測ることができません。取得に躍起になる必要もなければ、早く受かることにそれほどの意味もありません。

小学生のうちに多少ライバルに差をつけたとしても、英語が大好きで常に向上に努力するような人でもなければ、あとから追い上げて来る力のある人たちにいずれ追いつかれます。

だから、人のことは気にせず自分のペースで着実に積み上げていった方がよいのです。自分に見合う本当の実力を蓄えることの方がはるかに重要です。

英検はただの通過点です。多少の早い遅いがあるとしても、正しく勉強を続けていればいずれ自然に受かって行くものです。

英検は自分の英語学習の成果を確認するひとつの指標でしかありません。英語の勉強に対するモチベーションを上げるために英検を利用するのであって、英検自体が目的になってはいけないのです。あくまで、自分の中に本当の実力が養われているかどうかが大事です。

高校生で準1級を目標に

高校生で英検2級か準1級を取得することが、日本の子どもたちの英語学習を中期的に見た場合の現実的な目標になるでしょう。

高校生には2級までは受かって欲しいですが、準1級となると2級からのレベル差が激しく、受かる人は極端に限られます。だからこそ取得すれば大学受験で大きなアドバンテージを得られるのです。

そして高校生で準1級合格を目標の最高点として設定するなら、そこから逆算して2級合格は中学3年生か高校生1年生あたりでも十分ということになります。もちろん、もっと上を目指せる人はいくらでも目指せばよいのです。

英検で測定できる英語力が英語力のすべてではありません。とくにスピーキング力やライティング力は英検で十分に測れず実際の力を反映しているとは言い難いので、それらをもっと本格的に磨いていくのもよいと思います。短期留学をして生きた英語を肌で感じるのも貴重な経験になります。準1級に受かったら、次は1級を目指す道も当然あります。

英語が好きであることが何より大切

英検取得を急ぐ必要は決してありませんが、その代わり基礎をじっくり、しっかりと身につけるようにしてください。そして何より、英語に興味を持ってもらうことが一番です。

お子さまがどこまでできるかは分かりませんが、基礎を確実に積み上げて、そして英語を好きになってくれることを最優先に学ぶのがよいかと思います。それこそが中学進学以降も生涯にわたって続く、お子さまの英語学習を支える確固とした土台になるからです。

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