中学一年の息子の英語力を総合的に高めたいと考えていますが、いま通わせている英語塾は受験対策がメインで英検対策や英会話はやりません。英検対策にも力を入れてる英語塾に変えたり、英会話スクールにも通わせたりした方が良いでしょうか?

現在通っている英語塾を続けながらオンライン英会話を受講するか、4技能対応の英語塾・学習塾・予備校に変えてはいかがでしょうか。

英会話スクールはあまりおすすめできません。また、英検対策を掲げている英語塾にも注意が必要です。

従来型の英語塾では「総合的」な英語力は身につかない

現在通っている英語塾では英検対策や英会話はしていないとのことですので、懸念されているとおり「総合的」な英語力は身につかないでしょう。

「総合的」な英語力とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つのスキルプラス、「文法」「語彙」がバランスよく身についた状態のことを言い、いわゆる「英語4技能」と同じものと考えられます。

一般的な受験対策メインの英語塾では、文法と読解に偏った従来の「受験英語」指導をするところがまだまだ多いのが現状かと思います。「話す」「書く」は教えておらず、こうしたところで「総合的」に英語力を高めるのは難しいと言えます。

「総合的」な英語力を身につける方法2つ

お子さまが置かれた状況で英語力を総合的に高めたいのであれば、以下二つの方法が考えられます。

1.いま通っている英語塾を続けながらオンライン英会話を受講する
2.4技能対応の英語塾・学習塾・予備校に変える

順にご説明します。

1.いま通っている英語塾を続けながらオンライン英会話を受講する

もしいま通っている英語塾が受験に強く、その面では満足しているのであれば、そこを続けながら会話を別に学ぶ方法があります。

その場合、英会話スクールはあまりおすすめいたしません。多くの場合、英会話スクールに通っても会話力が身につかないからです。

その理由は、英会話スクールへ一般的な頻度と時間で通ったとしても(週1回、50分レッスン)、話せるようになるにはまったく足りないからです。グループレッスンで生徒4人、5人のクラスであれば、自分が話せる時間がわずかしかないこともあります。

そうかと言ってプライベートレッスンを選ぼうにも、ネイティブ講師のプライベートレッスンはとても高額(40分×月4回、30,000円など)で金銭的負担が大きくなります。

オンライン英会話がおすすめ

おすすめはオンライン英会話です。会話力を上げるためには高い頻度で小分けにたくさん話すのが効果的ですが、オンライン英会話はそのような受講に最適です。

1ヵ月毎日受講しても6,500円など格安であるため、高頻度でレッスンを受けることができます。

通常1レッスン25分で短いので負担が少なく、プライベートレッスンなので十分に話すことができます。

ネイティブ講師でなくフィリピン人講師が標準ですが、フィリピンでは英語が公用語のため講師の英語力は十分で、高学歴で教養ある先生が多く、ふだんの会話練習の相手としてまったく差し支えありません。

自宅にいながら受講でき、スマートフォンでの予約、キャンセルも簡単で、利便性が非常に高いです。

英会話スクールへ通うより、オンライン英会話を週数回受講した方がすっと効果的です。

いま通っている英語塾でしっかりと文法力や読解力が身についているなら、会話を学ぶ上でそれらがすごく生かされるので、英語塾とオンライン英会話の掛け持ちはぜひ実践していただきたい方法です。

英検対策では話せたり書けたりするようにならない?

英検対策をうたっている英語塾には注意する必要があります。英検に受かっても、実際には英語が話せたり書けたりするようになっていないことが多いからです。

英検は4技能型検定試験ではあるものの、合格したからと言って必ずしも4技能が身についているとは言えない面があります。

ライティングセクションの試験は、他のセクションと比べてボリュームが薄く、たとえば2級ではたった80~100語の文章を書くだけです。これで本当にライティング力を測るには無理があります。採点基準も甘く、出来があまり良くなくても高得点がもらえることもよくあります。

スピーキングセクションも同様で、合格率は80%~90%と高く、「ほとんどしゃべれなかったのに受かった」ということが頻繁に起こります。

リーディングセクションに比べて歴史の浅いライティングやスピーキングは、まだ実力以上のボーナス点がもらえてしまう未成熟なセクションかと思います。

英検のライティング、スピーキングセクションはこのように「甘い」試験なので、過去問や模擬問題である程度パターン練習を繰り返せば、合格点は取れるのです。そのようなパターン練習は本当に話せたり書けたりするようになるための過程でもあるため、必要なことではあります。

しかし、英検に受かっただけでは話せたり書けたりするようになっていない可能性があるということには注意が必要です。そのようになるには、英検対策以上の訓練が必要です。

したがって英検対策だけでしか「話す」「書く」の訓練を行わない英語塾では、英語力を総合的に高めるには不十分かもしれません。

2.4技能対応の英語塾・学習塾・予備校に変える

近年、4技能に対応した英語塾・学習塾・予備校が増えてきています。こうしたところでは、「文法」「読む」を日本人講師が、「話す」「書く」を外国人講師が分担して教えるのが一般的です。

4技能をひとつの場所で学ぶことができ、利便性が高いと言えます。もし現在通っている英語塾にこだわりがなければ、こうしたところに変えてみるのもよいかもしれません。

余談ですが、私(鶴岡)が考える日本の小中高生が英語4技能を学ぶベストな方法は、英語4技能プラス「文法」「語彙」のすべてを、プロフェッショナルな語学教師として訓練を受けたバイリンガル日本人教師が中心になって教え、ネイティブ教師(または外国人教師)は主にオーラルコミュニケーションの場面で補助的にかかわるにとどまるというものです。

本来、英語4技能プラス「文法」「語彙」はすべてお互いにつながり合って「英語」を形づくっているため、学習する際もすべて関連づけながら学ぶ必要があります。

したがって日本の小中高生の英語学習事情をよく理解している日本人教師が、それらをすべてコントロールし統合して教えるのが本当はいちばん合理的なのです。

4技能対応の英語塾・学習塾・予備校では、日本人講師と外国人講師とで各技能がバラバラに教えられがちという点がひとつ問題かと思います。

効果をよく見極める

以上二つのうちいずれの方法をとるにしても、それによって総合的な英語力が本当に身についているのかどうか、学習の効果をよく観察することが大切です。

英語塾など民間の英語教育機関は玉石混交で、良いところとそうでないところの差が大きく、また英語塾と英語を学ぶご本人との相性にも効果は左右されます。

ご本人や親御様が手ごたえを感じられないようであれば、別の方法を検討してみる必要があるかもしれません。

英語4技能は必ず身につく

英語4技能教育はいま過渡期です。さまざまな試みがなされていますが、「これ」といったスタンダードな方法がまだありません。

そのため「総合的」な英語力を身につけようと思っても、どうしていいのかよく分からないという方も多いでしょう。

理想はあちこちの塾に通うことなくワンストップで、最も効率のよいやり方で4技能を学べるに越したことはありません。

でも、そうした方法を見つけるのはなかなか難しい状況かと思います。

いろいろと試行錯誤しながら、だんだんと身についていくというのが実情ではないでしょうか。

しかし、意欲さえあれば英語4技能は必ず身につけることができます。

そして、難しいからこそ英語4技能を身につけることには価値があり、周囲と差をつけることもできるのです。

ぜひ英語4技能=総合的な英語力を手に入れてください。

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