子供を英語塾に通わせていますが、英語を話せるようになりません。塾のレベルの問題でしょうか?
お子さまが英語塾に通っても話せるようにならないのには、おおまかに次の4つの理由が考えられます。
①その英語塾でスピーキングを教えていない
②学習時間が足りていない
③その英語塾の指導力が低い
④本人のモチベーションが低い
これらのうちいずれか、または複合した理由によってお子さまは話せるようになっていないのだと考えられます。
4つの理由それぞれについて、ご説明します。
①その英語塾でスピーキングを教えていない
その英語塾では、そもそもスピーキングを教えていないのかもしれません。
英語塾といってもさまざまです。
文法、読解を中心に教える従来型の英語塾もあれば、スピーキングを含めた英語4技能を教える英語塾もあります。
4技能型の英語塾でも、スピーキングをどのように、何にどれくらい力を入れて教えるかはまちまちです。
従来型の英語塾に行ってもスピーキングは身につきません。そうした英語塾では、英語を話せない「塾の先生」が文法と読解を中心に教えています。話せない先生が話すことを教えることは不可能なので、スピーキング指導は行っておらず(英検の二次対策くらいはすると思います)、したがって通っても話せるようにならないのです。
その英語塾がスピーキングを教えているのか、教えている先生は英語を話せるのか、どのような教え方で何をどれくらい教えてくれるのか、まずは確認してみてはいかがでしょうか。
②学習時間が足りていない
次に、学習時間が足りていない可能性があります。
英語を話せるようになるには多くの時間がかかります。英語で日常的なコミュニ―ケーションをある程度できるようになるには、約2,000時間の学習が必要と言われています。これは大変多くの時間です。
たとえば英語塾で週1回、年間50回の60分授業を受けても、1年間の学習時間は50時間にしかならず、2,000時間に到達するには40年もかかってしまいます。数年ばかり英語塾に通ったとしても、到底話せるようにはならないのです。
では、実際にはどうやって英語力や会話力が身についていくかと言うと、英語塾の授業以外で学習することによって2,000時間に近づけていくのです。
たとえば英語塾で出される宿題を週1時間する、学校で英語の授業を受けて予習復習もする、毎日1時間計画的に勉強する、毎日オンライン英会話のレッスンを受ける、定期テストに向けてふだんより多く勉強する、受験のために猛勉強する、高校で短期留学する、大学で1年間留学する…こうしたことをすべて積み上げ、やっと「ある程度」しゃべれるようになるというのが現実です。
このような現実をまず知って、長い目で英語学習を考えることが必要です。
お子さまがこれまで英語の勉強に費やした時間は、まだ多くても数百時間程度ではないでしょうか。時間も労力も膨大にかかるのが英語学習です。しゃべれるようになるのは並大抵のことではないのです。
しかしだからこそ、英語が話せる、英語を使えるということには価値があるとも言えます。
③その英語塾の指導力が低い
おっしゃる通り、お子さまが英語を話せるようにならないのは、その英語塾のレベルや教え方の問題かもしれません。
お子さまが小学生であれば、授業で歌やゲームが取り入れられている可能性があります。
歌やゲームを完全に否定するわけではありませんが、こうしたお遊びの学習方法を私(鶴岡)はあまりおすすめしません。
歌やゲームを子どもは楽しみますし、それによって英語に慣れる、英語に興味を持つということはあると思います。
しかし、それ以上の効果は薄く、結局楽しく遊んだだけで身につくものが少ないのです。
私は小学生の英語学習は、単語を書いたり初歩の文法を学んだり英文を声に出して読んだりなど、もっときっちりしたものでよいと思います。
英語塾を選ぶなら、お遊びだけでなく身につけるべきものはしっかり学習するという方針、カリキュラムを持った塾にするのがよいのではないでしょうか。
④本人のモチベーションが低い
お子さまご本人の「やる気」の問題もあるかもしれません。
「やる気」は英語学習の成否を決める決定的な要因であって、英語が好きか嫌いかで「やる気」の有り無しが定まります。
英語が好きな人は「やる気」に満ち、貪欲に勉強してどんどんできるようになるし、英語が嫌いな人は「やる気」に欠け、周囲がいくら勉強しなさいと言ってもどうにもなりません。
とくに「話す」は「書く」と共に自発的なアウトプット行為のため、自分の中に「話したい」「伝えたい」という前向きな気持ちがなければなかなかできないことです。
小学生くらいから英語を始めて、英語に興味を持つ子もいれば、持たない子もいます。これはその子の個性のようなもので、みんながみんな英語を好きになるわけではありません。
もしお子さまが英語に興味を持たないのであれば、あまり無理強いはしない方がよいでしょう。「話す」ことには期待せず、単語や文法、読解中心で構わないので淡々と英語学習を続けることです。
中学、高校と進むうちに、徐々に英語に興味を持ち、「話したい」と思う時がくるかもしれません。その時、以前勉強した単語、文法、読解の土台が役に立ちます。
無理強いして英語嫌いになると最悪ですので、今は心配せずに見守ることが大切です。
以上4つのうちいずれの理由にしても、お子さまが話せるようになっていない原因を探り、もし現状に問題があるようなら学習方針の変更や転塾など考えてみてはいかがでしょうか。